先日、業務機器のメーカーの営業さんが飛び込み営業にやってきました。
今のところお願いしたいものや、興味のあるものも無かったのですがとっても親しげに話す方でしたので、何となく世間話的に会話を楽しんでいました。
見たところ若く見えますが、年齢50歳前後に見えます・・・さすがベテラン!上手に会話の中から僕が何を望んでいるか聞き出そうとします。
「そうそう!高田さんは娘さんがいらっしゃるでしょ!」
ん?確かに娘は二人います。
・・・あれ?娘達のお友達・同級生の親御さんかしら・・・?
家内は参観や懇談は必ず出席するので同級生の親御さんをよく見知っているのですが・・・僕は部活の保護者会の方しかわかりません。
「はい・・・どちらのお子さんの親御さんで・・・」
「昭和38年生の!」
僕の言葉をかき消すように言います!
「私!同級生なんですよ!」
「姉です!」
今度は僕が言葉を被せるようにいいます!
「僕の6つ年上(フォルテッシモで!)の姉と同級生なんですね!」
あのね・・・確かに、6つ年上の姉がいます。
あのね・・・確かに、6つ年上の姉の『お兄さんですよね!』と言われることも多々あります。
あのね・・・確かに、6つ年上の姉の知人から『妹さんお元気ですか?』と尋ねられること度々あります。
でもね!娘さんはないでしょ!
娘さんはないわ!
じゃあ営業さん!あなたのお父さんと俺は同世代に見えたって事?
そりゃないでしょ!
その無礼に敬意を表して『一昨日きやがれ!』と追い返して差し上げました。
本来なら大相撲の力士旭日松のように大量の塩をまきたいところなのですが・・・経費削減が必須の昨今・・・上品に中世の貴族のように親指と小指でチビリ・・・と蒔いてくれました・・・。
しかし・・・本当に素面だったのかしら・・・あの営業さん。
まさか酒飲んでた・・・なんてことはないかしら?
当店にはよく酔っ払いのお客さん(?)がご来店されることがありました。
・・・最近は来ないな・・・。
しかも厳密にはお客さんじゃ無いんですよね・・・。どこぞの飲み屋で飲んで、バスや電車の時間待ちに当店でくだを巻いて帰って行くんです。
しかも大人しい人は全くいません!
その中でも特に変わった方々が「無口な酔っ払い」「はぐれ者の酔っ払い」なる酔っ払いがいました。
当然どっちもお客さんではありません!酔っ払って店内に入るんですが「無口な酔っ払い」は入るなり
「ん!んん!」
と口を真一文字に固く結び、『ん』だけで意思表示をします。
見た感じ80位のお爺さんなのですが・・・ナフタリン臭いスーツをビシッ!と決めてイスに座ります。
「はいはい!何にしますか?」
「んん!んん~!」
「・・・タイ焼きですか?」
「んん!んん~!」
「・・・万十?」
「んん!んん~!」
「・・・何もいらない?」
「ん!」
買わないの知ってるけど、わざわざよぶんですよね・・・。
灰皿・お茶・ネクタイを弛めろを『ん』だけで意思表示するんです!
迷惑だけど面白いから許します!
そして翌日には必ず
「あの・・・昨日こちらにお伺いしたときに財布を忘れていませんでしょうか?」
とものすごく気の弱い、『借りてきたネコ』状態でオドオドしながら訪ねてきます。
当然なにも買わないので落としようも無いことだけ伝えてお引き取り願います。
もう一人!『はぐれ者の酔っ払い』は彼が来ると迷惑なんです!
体が大きくて人相もよくない上に大声で歌い始めるんです!・・・もちろん何も買わずにお茶だけ飲んでバス・電車の時間まで居座ります。
「おれは天下のはぐれ者!一人荒野をさすらいゆく~♪」
ジャイアン並の歌唱力でこれまたジャイアン並みのオリジナルソングをこれまた大声で歌います!
他のお客さんが怖がってお店には行ってこれないんです・・・。
・・・でもですね強面で体が大きい酔っ払いなのですが・・・強がっているんでしょうね・・・
はぐれ者・一人さすらうと歌うくせに、いつも本人以外見えない誰かと話しながらお店に入ってきて、バス・電車の時間には本人以外見えない誰かと仲良く話しながら出ていきます。
みんな本当は寂しいんですね・・・
でも最近そんなおもしろ酔っ払いを見なくなりましたね・・・
みんな満たされた毎日を送っているのかしら?
さらに「潔癖な酔っ払い」なる傑物がいました!
まだお店の前にパチンコ屋さんがあった時代です。
パチンコをしに自転車で来るのですが、いつも自転車の前かごにはウガイ用の緑茶のペットボトルと手洗い用の水のペットボトル、お手ふきに箱ティッシュが常備されていました。
パチンコ屋さんに入るときは、ドアの取っ手は誰が触っているか分からないので汚いとのことで・・・手で触れることが出来ないみたいでした。
必ず背中で押しながら回転しながら店内に入ります。
小一時間もするとこれまた背中でドアを押しながら回転して出てきます。
『もう負けたのかしら・・・』
と見ていると、駐車場の隅に『立ちション』をします・・・。
「そんな通りから見えるところでしなくてもいいじゃん!」
と聞いて見ると
「だって誰が使っているか分からないトイレは汚いから使いたくない!」
とのこと・・・。
自転車に常備されたペットボトルの水で手を流し、ティッシュで手を拭くとそこら辺にポイッット捨てます。
お店にも顔を出すのですが・・・買うことは無くいかに自分がきれい好きで清潔であるかの話をしに来ます。
「ガテン系の作業服を着た人は汚い」「年寄りは毎日風呂とか入らない人がいるやろ!だから汚い」「子供は虫やらそこららくちゅう触るから汚い」
等々周りの人を汚いと非難する話をします。
そういう自分もいつも同じ服で、いつも同じ場所が汚れているみたいなので洗濯しているのかしら・・・そもそも風呂に入っていない強烈な匂いもします。
お客さんには決して出来ない質問ですが・・・『潔癖な酔っ払い』はお客さんかな・・・?疑問の残るところですが勇気を出して聞いて見ます・・・
「お客さん(?)こそ洗濯してる?そもそも風呂はいってないっちゃない?(冗談風に)」
・・・不味かったかな・・・
「あー・・・そう思う?この服ね!まーそう思うわね!でもね・・・俺は全く汗をかかない体質だから風呂入らなくても綺麗だし、匂いもしない!服も汚れないとよ!」
自信満々です!その胸を張る姿は滑稽でもあります・・・
『顔も汚れて汚いし、服も泥汚れ・・・匂いも強烈よ!あなた汚いよ!』
と言えたらどんなにすっきりすることでしょう・・・
「あっ・・・そうですか!」
と引きつった笑顔をするのが精一杯でした。
そんな彼が
「今日はパチンコに勝ったから、水道貸してくれない!あとバケツも!」
とお店の前に設置してある水道の栓を貸してくれと言いに来ました(今日もお買い求めいただけません)。
何をするんだろうと焼きながら身を乗り出して見て見ると・・・
なにやらバケツに貯めた水で何かをジャブジャブ洗っています。
まさかこんな所で洗濯を始めたのか?
驚いて店の外に出てみると・・・
「今日はパチンコ買ったからよ!・・・でもお金は誰が触ってるか分からんから汚いやろ・・・」
お札に硬貨、ジャラジャラと音を立てながらお金を洗っていました・・・。
・・・あれ・・・当店でお買い求めいただけなかったのは・・・僕が汚かったからでしょうか・・・。