おやまのよーに!とシェア
大阪に住んでる甥っ子がいるんです。
30代、二児の父。かわいい奥さんとマイホーム建てて、大黒柱として立派にやってます。えらいなぁと思う反面、「あの甥っ子が…」という不思議な気持ちにもなります。
その甥っ子がね、夏になると毎年のように延岡に遊びに帰ってきてました。
まだ幼稚園にも入ってないような頃でしたけど、「好きなものなに?」って聞くと、鼻をくしゃっとさせて、誇らしげにこう言うんですよ。
「パシー!」
パーシーです。トーマスの、あの緑色の機関車。かわいいやつです。
あんなにちっちゃかったのに、いまや立派な父親ですもん。人って育つもんですねぇ…いやほんと、うれしいような、ちょっとさびしいような、複雑な気持ちです。
南国・宮崎の夏はそりゃもう灼熱ですから、
「かき氷、食べるか?」って聞くと、「うん!」って元気な声が返ってくる。
それで、よーし、とばかりにシャリシャリシャリシャリと氷を削ってると、甥っ子が言うんです。
「おやまのよーに!」
山のように大きく盛ってほしいって、かわいいリクエストです。
あの声、あの表情、今もふっと思い出すことがあります。

で、先日のこと。
高校生くらいのカップルがやって来て、「かき氷ってどれくらいの大きさですか?」と。
手でこんもり示して「これくらい。まあ普通よりちょっと大きめくらいかな」とお伝えしました。
ふたりで相談して、「イチゴミルク二杯お願いします」と注文してくれたんですけど、女の子が小柄だったので、
「二人で一杯シェアしても大丈夫よ。足りなかったら追加してね」と声かけたら、「それなら…」ということで一杯を仲良く分け合うことに。
うちはですね、かき氷をシェアして食べる方も多いので、まったく問題ないんです。
10人で一杯とかはチョット困りますが…良識の範囲でという事で…
ただ——そんなやり取りのあとに思い出すことがあるんですよ。
もう二十年くらい前の話です。あのときも高校生のカップルでした。
なにやらふたりで小さく揉めてる様子だったので、「いかがしますか?」と声をかけたら、女の子が鼻息荒くこう聞いてきました。
「かき氷って、一杯で二人前でしょ?」と。
…え?と思いました。
「えーと、一杯は一人前でお出ししてますけど」と伝えたら、「えっ?一杯で二人前じゃないの?」と食い下がるんです。
もちろん、昔からかき氷は一人前ずつで出してますし、一人で来たお客さんに「じゃあ半分だけね」なんてやったことない。
でも彼女の言い方がね、どうも引っかかるんですよ。
「…一杯は一人前と思って作ってます」って言うと、彼女はしばらく押し黙って、彼氏の方が「イチゴミルク二杯お願いします」としっかり注文しに来てくれました。
で、出してみたら、彼女は半分以上残してたんですよ。
あぁ…あのとき気づけばよかったんです。
彼女が言いたかったのはきっと、「量が多そうだから、ふたりで一つを分けてもいいですか?」ってことだったんです。
つまり——表現の問題・言い方の問題、そしてこちらの受け取り方の問題だったんです。
こちらの受け取り方がちょっとズレてて、結果的に気まずい思いをさせてしまった。
あの時の彼女、ごめんなさいね。
そう思うと、やっぱり言葉って難しいです。気持ちは伝えたいけど、うまく伝わらないこともある。
そんな反省もあって、いまうちではちゃんと「かき氷、シェアOKですよ!」ってお伝えしてます。
ということで——今年も「かき氷、はじめました。」
みなさん、暑い夏、ちょっと涼みにきませんか?氷、『おやまのよーに!』もり盛り山盛りで待ってますよ。
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