延岡名物 高田万十

*

しろあんたけた

   

あっという間に9月も終わり、気づけば10月。
「あと二か月でお正月か…」なんて考えると、うぉっ!と自分でもびっくりしてしまいます。
楽しみなような、せわしいような。

それにしても、今年はいつまでも暑かった。
そのおかげで、ずるずると続けていたかき氷も、さすがにこの辺で終了。
今年もたくさんのお客様に召し上がっていただき、本当にありがとうございました。

さて、ここからは季節の変わり目。
一日も早く寒くなって、たい焼きがジャンジャン売れてくれないと困る…。ほんとに困る…。
秋空を見上げながら、そんなことを考えている今日この頃です。

そしてここで朗報!
いや、ほんとに長かった…。

一昨年のこと。北海道の天候が悪く、大テボ豆――白あんの命ともいえる豆が大不作。
収穫時期に雨が多かったのが原因とのこと…。
しかも出来も悪くて、とにかく煮えない!
いつもなら3時間ほどで煮える豆が、4時間、5時間…まだ煮えない。
6時間、7時間…まだダメ。
あーぶく立った煮え立った♪煮えたかどうか食べてみよ♪ムシャムシャムシャ♪まだ煮えない♪
そんな悠長な事歌ってられません!
8時間炊けば煮えすぎて崩れるのに、それでも皮は硬い、実は固い。
おまけに業務用の大釜で炊くもんだから、ガス代も倍々増。泣けました。

それが先日、昨年収穫分の新豆がようやく入荷。
早速炊いてみたら――これがいい!
柔らかくて、色もよくて、上手に白あん仕上がりました。

…あぁ、こんなとき思い出すのは親父のことです。

昔のお店でたい焼きを焼いていると、
「おぉーい!○○(僕のこと)ちょっと来てみろ!」
と、あん炊きの作業場から呼ぶんです。

「なんよ!こっちは焼きよって忙しいちゃが!」とぶつぶつ言いながら顔を出すと、
「見てん!うまく炊けた!真っ白な白あんが炊けた!」と、自慢げに見せてくる。

そう、白あん炊きは本当に難しい。
柔らかく白く仕上げるはずが、火加減や時間を少し間違えると赤っぽくなってしまう。
あの頑固な親父ですら、きれいに炊けたときは得意満面で、子どものように喜んでいたものでした。

もし親父が今いたら、きっとこう言ってくれるはず。
「おぉ、上手に炊けたな!」

そんな白あんが炊けました。
ぜひ味わっていただけたら嬉しいです。

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