夏休みの友
みなさんのお子さん、夏休みの宿題はどうですか?
今も「夏休みの友」なんてあるんでしょうかね。名前からして“友”なのに、子どもにとってはどう見ても“敵”にしか思えませんけど。
僕が子どもの頃は、この「夏休みの友」を毎日一ページずつやるように言われてましてね。あとは絵日記、自由研究か工作、自主学習ノート(だいたい漢字の書き取り)――それを全部そろえて、運命の8月1日、始業式の日に提出しなきゃならんかったんです。

もちろん僕なんか、7月30日になってようやく気づくんです。
「宿題、やってない…」と泣きつくわけです。
そこへ6つ上の姉が出てきてね、
「バカじゃないの!あんたは!もう、貸してみな!」と、夏休みの友をひったくって、かわいい弟のために代わりに問題を解いてくれるんです。
僕が「自主学習ノートもやってない…」とさらに泣きつけば、
「ほんっとバカじゃないの!…一年生用の漢字ノート持ってきなさい!あれならマスが大きいからすぐ埋まるから!」
と、ズルのアイデアまで出してくれる。これも弟愛というやつでしょうかね。
そういえば姉には「…あんたが本読んでるとこ見たことないよね」とよく言われてました。
実際その通りで、幼稚園の頃には「絵本読むと頭が痛くなる」とか言ってたもんですから、両親も心配してたようです。で、小学校に上がる時に「無事入学できて安心したわ!」と夜に話していたところ
「でも無事に卒業できるかね……?」
と起きていた姉から言われ冷や汗をかいたという話を大学合格の夜に聞かされたことがあります。
皮肉なもんで、今じゃ本屋に入りびたりになるくらい本好きになりましたけどね。
さて、宿題の話に戻ります。
困った僕に姉がまたひと言。
「従弟のKの書いた読書感想文、借りてきなさい!」
この一言が、のちにちょっとした“伝説”を生むわけです。
その感想文というのが『老人と海を読んで』。そう、あのヘミングウェイの名作「老人と海」です。
生意気にも、小学5年の従弟がそんな本を選んで感想文を書いてたんです。僕は小学3年、どう考えても読めるわけない。けれど時間がない。何しろ翌日が始業式ですからね。仕方なく一字一句書き写しました。しかも漢字の間違いまで正確に(笑)。
工作はといえば、これは親父の出番でした。僕が何か作ろうとすると「貸してみろ!そうじゃない!」と取り上げて、結局親父が作ってくれる。ありがたいけど、なんだかなぁという話です。
こうして家族総出、親戚総出でようやく新学期を迎えるわけです。
――で、あの感想文、ばれなかったのか?って?
もちろんばれませんでした。当時の僕の通うの小学校は1クラス40人が6クラス、全校で1,400人を超えるマンモス校。先生も賞に値する作文以外はパッと目を通すだけだったんでしょう。だから翌年、従弟の弟Hも入学して、3人でまったく同じ感想文を提出しても、これまたスルー。三人とも同じ間違いを同じように赤で直されて返ってきました(笑)。
でもね、同じことを続けるって大事なんです。
僕が中1の時、従弟のKが中3・Hが小4の夏。Hがついにあの『老人と海を読んで』が賞をいただいたんです!どこを読んで選考したのか、今でも謎ですけどね。おかげでHは翌年から自分で作文を書かされる羽目になりました。
まあそんなこんなで、僕の夏休みは宿題との戦いというより“姉と従弟に助けられた夏”だったような気がします。
全国のお兄ちゃん・お姉ちゃん!かわいい弟のため・妹のために8月31日はがんばってください!
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