延岡名物 高田万十

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まだダメけ?

      2020/09/13

先日の雷!すごかったですね!
ピカッ!と光ってから『ピシッ!ゴロゴロドカーン!」の近いこと!
あんなに何発も雷落ちたの初めてじゃ無いですか?
激しかったな・・・
あんな激しい雷がなったら、あの世でヒーバー大騒ぎだったでしょう・・・。
もう4年になるのか5年になるのか、101歳でこの世を去ったヒーバー。
ヒーバーは耳は遠いくせに、雷が鳴るとどんなに遠雷の音でも布団を頭から被って
「雷が鳴りよる!あー怖い!怖いから頭が痛くなった・・・痛くなったから寝るわ・・・」
と、普段から寝てばかりなのに『寝る』と堂々と宣言してから布団をすっぽりと被り雷が過ぎ去るのを寝て待つ人でした・・・。
そんなヒーバーを、寝てばっかりの役立たず!と非難中傷していたお袋・・・そんなお袋もいまでは寝ていて何もしないヒーバー以下の役立たずになりはてています。

先日の台風の折、お袋のご飯を頼んでいる宅配弁当の『まごころ弁当』さんが台風のためお休みさせていただきますと連絡がありました。
そりゃそうでしょう、特別警報級の大型台風でスーパーの店先から水やカップラーメン・パンが消えてしまうほどの警戒注意報をメディアが散々報道するんですもの!
某タカダマンジュウもお休みする始末です。

致し方ありません。台風の日のお袋のご飯の準備と、我が家の食料・水の確保が急務です。
宅配弁当・・・美味しいんです!美味しいのですが、せっかく隣接して住んでいるんです。本当なら、美味しい我が家内の手料理を一緒に食べれば良いのですが、お袋は待てないんです・・・。
家内の仕事も遅くなることがあります、娘の学校から帰って来るのは遅いんです。しかも僕の仕事が終わって帰って来るのは8時すぎ・・・。
なによりお袋は目の前に食べ物があると食べずにいられないんです・・・待てないんです。
ファミレスに行っても、子供や僕や嫁の注文したものがまだ運ばれてきていなくてお袋の注文した品物が運ばれてくると
「私ゃ先に食べるよ!」
店員さんが置くと同時に食べ始めます。
小さかった子供達には皆そろって食べるようにと教えているのに
お袋だけそれが出来ません。
「おばぁちゃんダメね・・・」
小さい娘達も驚いていました。
遡れば、親戚の祝い事に参加した時も目の前にある料理を我慢できずに親戚が挨拶している最中にパクっと口に入れ
「こら!」
と親父に小声で言われ
「なんけ!いいじゃんけ!ねぇすいませんお父さんがヤラシイコト言って・・・ねぇ!」
と誰も共感できない言い訳をしたこともあります・・・。
そんな理由で宅配弁当にしているのですが、今回は仕方ありません。
考えあぐねて、スーパーの冷凍食品コーナーにご飯とハンバーグがセットになったハンバーグプレート的な冷凍即品があることを思い出しそれを買ってくることになりました。
「冷凍庫にいれとくから、お昼になったらこれをチンして食べてね!」
とお袋に伝え家に帰ると、早速電話が鳴ります。
「チンするけど堅くて食べられんわ」
お袋の住んでいる家と僕の家はすぐ隣です。といいますかつながっています。
冷凍庫に入れて2分と過ぎていません。
「あんた今冷凍庫に入れたじゃん!もう食べてると?チンして暖めないと食べれんわ!」
だって今の今です。
「チンしたよ!チンしたけど堅いから、食べれん!って言いよるがね」
そりゃそうかもしれませんが、今の今です。
腹が立つけどいつものことです。
またお袋のところに行くと、冷たいままのハンバーグプレートも僕に差し出します。
「まだ凍ってるじゃん!何分チンしたっけ?」
表面がほんのり溶けかかっているのでチンしてた形跡はあります。
「何分て、知らんわ!いつもの弁当のとおりよ!」
いつもの宅配弁当はその日に作って配達してくれるので、1分30秒で暖めが出来るようにレンジを設定しています。
「これは冷凍してあるから1分30秒じゃいかんやろ!見てん、6分30秒って書いてあるじゃん!」
裏にも書いてありますが、表にも大きな文字で6分30秒って書いてあります。
・・・そういえば電化製品の説明書なんか読まずに捨てて、自分は設定や予約をしないので人が困ってもしらんふりの人でした・・・。
市販のカレールーなんかも箱の裏に書いてある分量なんか守ったことが無く、水の分量もその日の気分次第、薄味のスープカレーの様な仕上がりだったり、はたまた激濃味のキーマカレー風の仕上がりだったりと5回に一回くらいの割合でまともなカレーが出てくるという我が家のドリームジャンボなカレー事情・・・。
何を言っても今更・・・黙って6分30秒にセットして・・・

そのすきに台所の洗い物をしてあげてると
「もういいわね!出来たわね!」
室内用バギーを押しながらレンジの真っ正面に立つお袋・・・
「なんがもういいとけ!まだ2分しかたって無いがね」
こん人・・・あきれてしまいます。
「もうできたやろ!」
レンジを開けようとします。
「あと3分!待たんけ!」
大丈夫け・・・この人。
「あーしんきな!まだじゃろか?」
目はレンジを全集中”食の呼吸”で鬼殺隊の柱のようにらみつけています。
すると洗い物をしている僕の後ろから
ドンドンドン・・・ドン・・・ドンドンドン・・・ドン・・・ドンドンドン・・・ドン・・・
どこからともなく、大地を踏みならすような音が聞こえてきます。
その踏みならすリズムは、かのQueen の名曲”We Will Rock You ”を思い出させる激しく力強い鼓動・・・
思わず振り返ると
「しんきな!まだできんとけ!」
足腰が弱くしかも、病院で診察を受けねばならないほど痛かったはずのお袋の足が、地団駄を踏むように床を力強く踏みならしています。
「お袋あんた足が痛かったちゃないとけ?」
「そんげなことよりもういいじゃろ!」
あと30秒は残っていましたが、レンジの扉を開け中身を取り出そうとする老婆
「熱ぃ!」
そりゃ熱いでしょう・・・。残り30秒はありましたが6分もレンジで加熱しています。
「熱かった・・・あんたが取ってくんね!早よ取って!」
腹が立ちます。
「レンジしたばかりのもんは、誰がとっても熱いじゃろ!なんけその言いぐさは!」
本当に腹が立つ。
タオルでお盆にのせテーブルに持って行ってあげると・・・
「早ぃあんたは帰んね!私はご飯食べんといかんから!もういいが、帰んね!」
腹が立つ!
「早よ!帰んね!」
まだ言うか!
これが本当の実の母親・・・お袋なんです・・・。
あー・・・穴を掘って埋めたい・・・もとい、穴があったら入りたいです。

 - Love Story(介護生活)は突然に

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