延岡名物 高田万十

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でんすけじーやん

   

でんすけじーやん

毎日夕方くらいになると・・・
「今日は早よやめよかい?」
お袋の4時の時報が鳴ります・・・。

「今日はお父さんが疲れちょるから早よやめよかい?」
「明日注文(がたくさん)が来ちょるから早よやめよかい?」
「今日は忙しかったから早よやめよかい?」
「雨が降り出したから早よやめよかい?」
「風が吹くから早よやめよかい?」
何かの本で読んだのですが、宇宙の刻む時間は絶対的な法則により何よりも正確なのだとか・・・。
その宇宙の法則のように夕方
「早よやめよかい?」
の時報が鳴ります。
「昨日は寄り合いに行かないといかんから、私達(親父&お袋)先にかえるね!」
とお袋
「なんけ!お袋も寄り合いにでるとけ?」
だって今まで一度だって、商店会・自治会・組内・はおろか、学校の父兄の懇親会だって参加したこと無いのに!
「なんで私が行くとけ!私しゃそんげなとこに行ったことないの知っちょるじゃろ!やらしい!」
知ってますわ!天と地がひっくり返っても、赤が青になっても、空が海で海が空になっても絶対に行かないことを僕も当然知ってます。
「え?じゃあなんでお袋も先に帰らな行かんの?」
知ってます!「よだきい」んでしょ!「早よやめよかい?」なんでしょ!
でもさも自分が寄り合いに出なくちゃいかんから!見たいに言うのはどうかと思いますので突っ込みます!
「なんけやらしい!着替えやら、身の回りの支度をせなならんじゃろ!あんたはなんでそんげやらしいとけ!」
やらしいってどっちが!・・・と言いたいところですが、ここは譲ってぐっと堪えます。

我が親ながらネガティブなやる気を削ぐ事ばかり言うのをやめて欲しいとも思うのですが・・・止められないんでしょうね・・・。
本当に血がつながってるのかしら・・・。
疑問であります!

血のつながりをズーッとたどっていくとアフリカに人類のルーツがあると何かの本で読んだことがあります。
アフリカのサバンナの大地に立つと・・・どこか懐かしさを感じるとテレビの特集の放送で言っていましたが・・・今回はご先祖さんの話をちょっと・・・

実は親父の名前が難しいんです!
親父曰く
「これを初見で読めた人はいままで1人しかおらんわ!」
ちなみにその人は、30年くらい前にお店の改装をした時に来ていた大工さんでした。

その大工さんに続き、先日市役所の納税課(?)の窓口の方がさらっと読んだので、
「今読めましたね!史上2人目です!」
と思わず表彰状を進呈したくなりました!

ココにはさすがに個人情報がどうとかありそうなので書けませんが、絶対に同じ名前の人はいないと思われます。

「小さい頃はからかわれていやじゃったがね・・・でも山の神様の名前をもらったすごい名前じゃからね!・・・でも名前負けしちょるがね・・・」
と親父がよく笑って言っていました。

僕も親父の名前を尋ねられたときに
「山の神様の名前げな!」
って答えてました。

それが昨年の今山大師祭おだいっさんの見立て細工を作っているときのことです。
昨年のテーマが愛宕山が2人の出会いの地であるという「ニニギノミコト&コノハナサクヤヒメ」の神話でした。
その参考資料のなかに親父の名前が出てきたので調べてみると・・・
『日本書紀』に親父の名前をありがたくもかしこくも頂戴つかまつりましたる御名が登場しているではありませんか!

「なんけ!『日本書紀』に親父の名前が出てきちょったよ!すげーじゃん!名付けは親父のじーちゃんやろ?」
つまり僕にとっての親父方のヒージーが、ありがたくもかしこき名前をつけたというのです!
「そう!デンスケじーやんが名付けをしてくれたとよ!」
『でんすけじーやん』親父の思い出話に度々登場する名前なのですが、僕のヒージーです。(見たこと・あったことは無いんです)8人兄弟の上から4番目の次男坊である親父をことのほか可愛がってくれたそうです。

「そもそも何しよった人け?」
『日本書紀』やら『古事記』やらに詳しかったからこそそんな名前を付けると言うことでしょ!
そりゃあ博学な知識人だったんじゃないかしら!貧乏神がしがみついて絡みついて離れない人生を送る親父ですが、先祖にはもしかして由緒正しい血筋だったりしちゃったりなんかしたりして・・・かすかに期待しちゃいます。(だって親父の昔話、買ってもらったランドセルが雨に溶けたはなしとか、はりきってスーツを作りに貯めたお金もって仕立屋さんに行ったら全然足りなくてそのまま帰った話とか、お金貯めてやっと買った腕時計を海に落とした話とか聞いていて涙が出る話ばっかりなんですもん)
「でんすけじーやんは『石垣つくり』の職人やったわ!」
「・・・石垣・・・」
なんでそんな人が・・・いやそんなこと言ったら失礼かもしれませんが、今から80年位前の日之影の山の中の中の集落の話ですよ!
炭焼きしてて、隣の山で炭焼きしている親父の兄貴との連絡手段は
「おーいい・・・兄貴・・・そろそろ・・・昼飯にしようじゃねーの・・・」
と大声で『オラブ』しかないんですよ!そんな時代です。
ネットでちょっと検索!
じゃない時代に、『日本書紀』はそんじょそこらの人は読まないと思うんだけど!
「田舎じゃからってなめるなよ!でんすけじーやんはよ、山を越えた集落からそのまた山を越えて・・・山々を渡り歩いては石垣を作り、そこにしばらく滞在して『読み書きそろばん』を教えてあるきよったとぞ!山の奥の奥じゃから、学校やらないからでんすけじーやんがおらんかったら、読み書きができんかった人はものすごい数じゃったじゃろね!」
やるじゃん!でんすけじーやん!
「それだけじゃなくて、『神楽』にも詳しかったから、山々巡って神楽踊りの伝承もしよったとよ!高千穂神楽とはちっと違う神楽の踊りは、日之影周辺の山々に広がっちょるのはでんすけじーやんの功績よ!」
しかも『名付け』もしていて、姓名判断や占いにも詳しく、自分の家族には神話や『日本書紀』『古事記』からありがたくもかしこくも頂戴していたと言うことです。
「それによ、杖術と弓道の先生で、これもその土地土地で教えていたらしいからよ!」
でんすけじーやんは文武両道やったんです!
「でもやっぱり貧乏じゃったがね・・・オマケに弓道教えよって、自分の教え子の矢が目に当たって片目が潰れちょったがね・・・」
やっりか・・・貧乏は血筋ですね・・・残念です・・・。
しかも自分占って
「今日のでんすけじーやんはアンラッキーデイ!弓矢に気をつけて!今日のアンラッキーパーソンは『お弟子さん』。ラッキーアイテムは眼帯です!今日も素敵な一日を!」
自分を占わなかったのかしら・・・?

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