フレッシュマン

2016/04/05

毎年恒例の旭化成の未来を担うフレッシュマンズの集団出社の大行列が当店の前をすがすがしく通って工場まで歩いていきます！
フレッシュマンの中には
「おはようございます！」
とゴミ出し中のヒゲ親父にも爽やかに挨拶をしてくれる憎いヤツもいたりします。

あぁ･･･あれは二十数年前･･･僕もこんな爽やかなフレッシュマンとして某山○屋関連企業に入社したあの日が昨日のことのように思い出されます。

時はバブル全盛の時代･･･
企業説明会に参加するだけでも『お足代』『交通費』『宿泊代』『お食事代』なる封筒を当たり前のように差し出され、これまた当たり前のように受け取っていた･･･『あぶく銭』お金はドンドン湧いてくる･･･景気が悪くなる日なんか絶対に来ない･･･株価が下がる日は来ない！土地はドンドン値上がりする！世の中が浮かれていたそんな時代でした。

大学の仲間には仲間数人で車に乗りあって、大分・熊本・福岡・鹿児島と会社説明会に参加してお車代や宿泊費をいただきながら、持参したテントで野宿をして社会人になるその日の準備金を貯める強者もいたりしました。

そんな浮かれた世の中に流されてはならない！
変に頑固になってしまったフレッシュさのかけらの無い若者が一人･･･えー･･･僕です。
確かに老けていました･･･今も老けているのですが、当時も『爽やかさの無い新人』として『大卒の新入社員』と爽やかな新人を期待していた先輩女子社員をガッカリさせるという離れ業を披露した僕ですが、入社する前･･･学生時代から爽やかさとは無縁などこか世間ズレした学生だったと思います。
ちなみに中学時代、某山田で買ったボーリングシャツにダートクーガーのNTOYなるノータックボンタンを履いた（わかるかな～♪わからないかな～♪）僕が今は無き寿屋のカンカン広場を歩いていると
「シャチョウサン！ドコカ、アソビニイキマショウヨ！」
と片言の日本語でフィリピンパブのオネーチャン達に声をかけられたこともあります･･･。

そんな僕をなぜか気に入って可愛がってくれた学長の勧めで、某超大手企業の関連会社を紹介していただきました。
会社を訪問し仕事内容や企業の歴史等々じっくりと説明いただき素晴らしい会社であることがわかりました。
給料も素晴らしく、社員の福利厚生も充実し働きがいのある･･･今ならば二つ返事でいや･･･土下座してでも･･･足にすがりついてでも働かせていただきたい、そんな会社でした。

こんな会社で働けたら･･･と一通り話を聞き終わり頭の中で考えていると
担当者の方が一言
「○○教授の紹介だから安心して！何よりウチの仕事は楽だよ！絶対楽だからウチにおいで！」
こんな素晴らしいこと無いでしょ･･･
そんな風に言ってもらえることないでしょ･･･
老けた顔した憎いヤツ･･･偏屈王はそんな言葉に引っかかります･･･
「楽な仕事じゃダメなんです！自分の力を振り絞って働きたいんです！実力で勝ち登っていきたいんです！･･･今回はお世話になりました」
と断って帰って来ちゃったんです。
「艱難汝を玉にする･･･」
磨かれて磨かれて珠玉の男になりたいと本気で思っていました･･･。

そしてこんな浮かれたバブル時代に就職しても自分がダメになる！と一年間フリーターで底辺からのし上がろうと就職しない決断を･･･。
馬鹿でしょ･･･。
宮崎市役所の防疫管理で臨時職員半年、宮崎空港売店でアルバイト半年、年金やら保険やらヤッパリ正社員じゃないとなかなか生活も厳しく･･･
大学の成績はまぁまぁよかった僕のコトを心配した大学の事務の就職部が
「即戦力の人間が欲しいっていってる会社があるけど」
と連絡がありこれまた九州では大手のとある企業を紹介してくれました。
面接に行くと、採用担当の方が
「君の話を聞いて社長が今時面白い事考えてる学生がいるのか！（厳密には卒業してるから学生では無いんです）！と今日は君に会いたいと本社から来てくださっているんだよ！」
と満面の笑みで言いました。
うれしくも無いけど･･･と思いながらも、ドアが開く音と共に振り返ると『ザ・社長』を体現した社長さんが面接室に入ってきました。
しばらく談笑しつつ、なぜフリーターをしているのかとの質問に答えていると
「君はそんな無駄な時間を過ごさずに、ウチに来て仕事をがんばりなさい！そんな馬鹿な時間の使い方は君の人生にとってマイナスだ！」
と今考えると、僕のコトを高く評価してくれて『我が社でバリバリ働きなさい！期待しているよ！』と言ってもらっていると分かるのですが･･･馬鹿な僕は
「男一匹考えての行動です！例え社長さんと言えども、僕も行動を否定するのは･･･」
と口論になってしまいました。
大変気まずい終わり方で帰路についたのですが･･･翌日には
「昨日は社長と熱く語らったらしいね！先方が是非にも採用したいとおっしゃっているよ（喜）」
と大学の就職部の担当さんから電話をいただきました。
ありがたい話です･･･ありがたい話なんですが･･･
「僕の生き方を真っ向から否定した社長さんと口論しました。さすがに社長に弓引く社員とはいかがなものかと考えます･･･」
これも断ってしまいました。
我ながらめんどくさい学生です･･･。
「お前はよく考えて行動しなさい！お前の我が儘で、後輩達の未来の就職先を潰して行っていることに気づいているのか！」
学生でも無いのに大学に呼び出され学長、学生課長、就職部長に囲まれて延々と説教を頂戴し、採用のお言葉をいただいたら絶対断っはならない！だからといって不遜な態度で面接を受けてはならない！等々条件を付けて紹介いただいたのが某山○屋の関連企業でした。
つつがなく面接を受け、つつがなく採用の通知をいただきました･･･。
ありがたい話です。
新人研修は企業グループ全社の新入社員が4分割ほどに分けられて行われたのですが、新入社員レクレーションなる全体の集まりに参加したときはその1000人･･･いやそれ以上の新入社員の人数に圧倒され、大きな会社に採用していただいたんだな･･･と感謝の気持ちで一杯だったことを覚えています。
そのレクレーションで最も盛り上がる「ジャンケン列車」なるイベントが行われました。
それは目の前の人とジャンケンをして負けた人は勝った人の後ろに並ぶ！そんな単純なゲームなのですが･･･最後まで勝ち続けると数千人の先頭になると言うことです。
しかもこのレクレーションで先頭になった者は必ずと言って良いほど出世街道をばく進するという『運も実力のうち！』を実戦する曰く付きのゲームなのです！
俄然やる気も出るというもの！
一人勝ち･･･二人勝ち･･･三人勝ち･･･後ろに並ぶ列はドンドン長くなります･･･
四人･･･五人･･･
「まさか･･･まさか･･･」
なんと全部勝ち抜き全新入社員の先頭に立つ事ができました！
偶然とは言えすごいことです！これで同期の中で最速で出世すること間違い無し！
･･･のはずでした･･･
そんな折り･･･地元延岡では最後の駅前再開発の流れが起きているとの事･･･。
なんと高田万十も再開発の地区に指定され、なんと高層化される駅ビルの中に店舗をもらえるのは勿論、上層階のマンションも住屋としてもらえるという好条件が出されているとの事！
「これは跡を継ぐしか無い！」
3年で同期の中では最速で辞表を提出してしまったと言う残念な結末でした･･･。